初めて来院されたお客様の施術が終わったら、ご本人の体の状態を詳しく説明しましょう。
お客様が自分の体の状態を知ると、施術者とお客様の間で共通認識ができます。
すると、お客様は疑問があるときに施術者へ質問しやすくなります。
共通認識があるので、施術者もアドバイスや注意事項をお客様に伝えるのが楽になります。
そこで今回は、施術後のコミュニケーションについて説明します。
もくじ
今日の体の状態を説明する
お客様の体の状態を説明するときは3つのことを意識してください。
1、視覚に訴える
2、どのように悪いか実演してみせる
3、本人の体に当てはめて説明する
視覚に訴える
まず、お客様への説明は視覚情報で伝えることを意識しましょう。
なぜなら、お互いに同じものを見て説明すると認識のズレが少なくて済むからです。
耳から入った情報のみではお互いのイメージがずれることがあります。
例えば、「あなたの仙腸関節は右側が硬かったです」と言ったとしましょう。
施術者は、プロなので当たり前と思うことでも、お客様は右の仙腸関節と言われた時点で何のことかわかりません。
このようなとき、お客様は適当に相槌を打って聞き流し何も理解していないことがよくあるのです。
そのため、施術者は説明に当たってはお客様との認識のズレを予防することを意識する必要があります。
お客様に体の状態について説明するときは、骨模型やイラスト、解剖書などを使い認識がずれないようにしましょう。
どのように悪いか実演してみせる
次に、お客様の体がどのように壊れていたかを実演してみせましょう。
しかし、「腰痛の原因は、右の腸骨が後方回旋していて広がっていたためです」と言ってもお客様はピンときません。
お客様は、腸骨がどこに、どのような形である骨なのかがわからないからです。そのため、お客様の体の歪みを実演してみせるのです。
例えば、「右の腸骨が、後ろに回旋しさらに外に開いてしまい、全体としてこのような形に骨盤が歪んでいました」と説明します。そして、横座りや足を組んだ姿勢を実演して、お客様に見てもらいましょう。
すると、お客様は「ああ、いつもその姿勢で生活しています」とガッテンしたかのように言います。
そこで初めて、お客様は自分の姿勢が腰痛の原因だったとわかるのです。
このように、施術者がお客様の今日の体の状態を実演してみせることが大切です。そこで初めて、お客様は痛みの原因に気づくことができます。
そして、実演説明にはもう一つの効能があります。
それは、視覚情報が入ることで、お客様が自らの生活習慣を変える必要があると気づけることです。
そのため、説明はなるべく実演を交えておこなってください。
お客様の体に当てはめて説明する
実演して見せると、お客様は頭で理解します。しかし、自分の体感覚としてわかっていないことがよくあります。
そこで、骨模型での説明、施術者による実演説明の後にすることがあります。
それは、お客様の体を触って具体的に何が起こっていたかを説明することです。
例えば、骨模型で説明するなら、「この骨がこのように歪んでいました。この骨とはあなたの体のここですよ」と言う具合です。
このように、お客様自身が自分の体感覚として苦痛の原因がわかることが大切です。お客様が「だから、自分のこの部分をこのように修正する必要がある」とわかることが大切なのです。
このように情報共有ができると、施術者とお客様が同じ方向に向かって治療の階段を登る準備ができたことになります。
安心を提供する
丁寧な説明を聞くうちに、お客様は心の中でこの先生を信じようと決めました。
その次にお客様が考えることは「自分は何回でよくなるのだろう」と言うことです。
それは、お客様が自分の体にいくら投資できるか計算を始めた状態です。
そこで、お客様が計算しやすいように、そして今後の予定を立てやすいように、言わなければいけないことがあります。
それが、「絶対とは言えませんが、○回で良くなると思いますよ」というフレーズです。
私の場合は、30年も臨床に関わっているので一度拝見したら何回くらいで良くなるか目安がつきます。
そこで、自分にプレッシャーをかけるために少なめの回数で提案しています。
場合によっては「わかりません」ということもあります。
その時は「3回施術してから答えてもいいですか」「頑張るけど無理かもしれません」などとはっきり言うようにしています。
なぜなら、自分の施術で治る見込みがないのであれば早くお客様に伝えるのが、お客様に対する親切だと思うからです。
しかし、まだ経験が浅くて自信がない施術者であれば、自分の予想より回数を多めに伝えるのもいいかもしれません。
このように、通院を考えているお客様には通院回数の目安を伝えましょう。
「絶対とは言えませんが、○回で良くなると思いますよ」と提案してみてください。
お客様自身が来院の決断をするように提案する
人は誰でも人に決められたことをするときは責任を感じません。
しかし、自分が決めたことには責任を感じます。
そのため、通院はお客様自らに決めていただく必要があります。
そこで、お客様に以下のように質問して見ましょう。
「それとも、今日、次回予約を入れて帰りますか?」
「どうされますか?」
と、続けて聞いてみましょう。その後お客様が決断するまでは、しばらく無言でいます。
ここでは、通院することをお客様自身で決めることが大切です。
お客様が、迷った挙句に次回予約を入れた場合は、キャンセルは自由なことを伝えてください。
都会では、キャンセル料を取るところもあります。
しかし、特に女性のお客様は様々な理由によりキャンセルせざるを得ないことがあります。
例えば、
- 子供が熱を出した
- 親の具合が悪い
- 仕事が休めない
など、年齢相応に自分以外の都合で予定を変更せざるを得ないことがあるのです。
そのため、キャンセルしてもまた通院できる安心感を提供する方が長く良い関係を築くことができます。
この際、「キャンセル待ちのお客様がおられるので、わかったらすぐ連絡くださいね。できれば前日までに連絡ください」と言っておくといいでしょう。
このように、通院はお客様自身で決めてもらいましょう。
そして、お客様がキャンセルしたくなったときにキャンセルしやすい言い訳も施術者側から言っておきましょう。
するとお客様は、キャンセルするときに心の痛みが少し減ります。
そのため、また都合がついたときに、緊張せずに再来院の予約を入れやすくなります。
今回の動画解説はこちらです↓↓↓↓↓↓↓
http://www.youtube.com/watch?v=1kdwRmDKYLg
まとめ
今回は、施術後のコミュニケーションについて説明しました。
まず、お客様が一番知りたい体の状態について骨模型を使ったり、解剖書を使ったりしてしっかり説明しましょう。
その説明に納得できたら、お客様自身が何度か通院が必要だと感じます。
その後に、プロから見た予後について話し、最適な通院間隔や通院回数を提案します。
すると、お客様自身が次の予約をするかどうか決めることができます。
先生は説明したつもりでもお客様が理解できていなければ、コミュニケーションが取れたことにはなりません。
施術者とお客様が共通認識を持てるコミュニケーションを工夫しましょう。
そうすることで、お客様は納得して自ら次回予約をされるようになります。