40代以降になると、男女とも少しずつ体力が落ち始めます。体力の低下に気づかずにいたり、気づいても無視していたりすると、だんだん膝や足など下半身から先に違和感や痛みなどが出てきます。


例えば、40代以降の男性は、下降する体力に逆行して仕事や責任が増していくため、無理をしてしまいがちです。

膝痛

40代以降の女性は、子育てや介護で無理することが増える時期です。周囲を気遣い、体力以上に頑張ると少しずつ無理が蓄積します。そしてその結果、寝ても疲労を回復できなくなり体に異変が現れます。

蓄積された異変の一つが膝痛となってあらわれます。膝痛は、40代過ぎの方に多い症状です。

通常、膝が痛むと医療機関で検査を受けます。検査で原因が見つかれば対処してもらえます。

しかし、「年だから仕方ないですね。様子を見ましょう」と言われた場合、お客様は対処法がありません。

加齢は事実なので逆らいようがありませんが、膝が痛いのは事実なので本当に困ります。

そのような時に、近所の整体院や治療院に救いを求めるのです。

今回は、お客様を目でみたときにわかる膝痛の原因を探ります。さらに、お客様が訴える膝の動作時痛の原因を見ていきましょう。

診た目で膝痛の原因を探る

どのような症状で来院されるお客様もそうですが、診た目でわかる情報はたくさんあります。

膝痛のお客様が、ドアを開けて院に入って来た時の様子を観察しましょう。

お客様の靴底の減り具合歩き方椅子への腰掛け方と立ち上がり方移動時の体重のかけ方などからさまざまな情報を読み取ることができます。

では、膝痛の時に診た目でわかる代表的なものを見ていきます。

ガニ股になっている場合

膝痛になると、両膝の間隔が開きガニ股やO脚になる場合があります。

この場合、理由はいくつか考えられますが大きなものとしては以下4つです。

  • 大腿骨内側果を通過する体重を、痛みのため体重を外に逃がすように膝が使われているため
  • あぐらや横座りで膝関節を外にひねる生活を長年続けて来て、脛骨が立ち上がってもねじれが戻らないため
  • いつも外旋方向にひねるスポーツや仕事をしているため
  • 打撲やけがのため

その他にも、足や腰、反対側の膝をかばうなどしても膝痛は起こります。

左右で膝の大きさが違う場合

変形性膝関節症では、見るからに左右で膝の大きさが違う場合があります。この場合は、膝が大きい側に変形が起こっているため、膝に痛みがでます。

これは、突き指するとその関節が大きくなるのと一緒です。問題がある関節は、見た目にも大きくなっていることが多いので注意深く観察してください。

膝が腫れている場合

膝の腫れが顕著に現れるのは膝蓋骨の下の内側と外側です。膝蓋骨下で膝蓋靭帯の内側と外側の部分の大きさ、盛り上がりを左右の膝で見比べてみましょう。

明らかに腫れているのがわかる場合は、膝関節内の滑液が増えていることが痛みの一つの原因と言えます。滑液は、関節の動きによる摩擦がゼロになるように、血液から浸出するヌルッとした液体です。

腫れている関節は、摩擦が大きくなっていることを意味します。摩擦が大きくなる原因は色々あります。整形外科で異常なしの診断を受けた場合、レントゲンでわからないほどの関節の微妙なずれにより、摩擦が大きくなっている可能性が考えられます。

問診時に、膝の関節がズレるようなことを何かしてなかったかについて聞いてみる必要があります。

関節がズレるといっても、動きの大きい屈伸の方向にズレることは稀です。

そこで、日常生活の中で、大腿骨に対して脛骨が内旋あるいは外旋の方向に使うことが多くないかを聞いてみましょう。

日常生活で、膝をどの方向に使うことが多いかがわかっていると検査時の参考になります。

片側に体重をかけている場合

膝痛で片側に体重をかけている場合の原因は、明らかに見た目でわかります。

この場合は2パターン考えられます。1つ目のパターンは、使えない側の膝が悪い場合です。2つ目のパターンは、患側をかばった結果、健側の膝に無理がきている場合です。

痛みを訴える膝の情報を聞くのは当然です。しかし念のため、健側の膝についても問診で既往歴を聞きましょう。

靴底の減り具合が違う場合

靴底の減り方が違う場合は明らかに体重が偏っています。左右どちら側がどのようにすり減っているかを見ておきましょう。

靴底の減り方が違う場合は明らかに体重が偏っています

かかとの外側後ろがすり減る場合や外側の縁がすり減る場合、内側がすり減る場合などいろいろあるので靴底の状態をチェックする必要があります。

例えば、右かかとの後ろ外側の減り具合が大きい場合や、靴底の右外側縁のすり減りが大きい場合は、右外側に体重がかかっていることを意味します。

靴底の内側がすり減る場合の膝痛の原因は、前捻股(大腿骨骨頭の位置が普通の人よりも前に来ている状態)や扁平足が考えられます。そのため、検査時に大腿骨骨頭の位置や扁平足の有無をチェックする必要があります。

また、捻挫や事故で足のトラブルがあって膝が痛む場合は、膝の問題ではないかもしれません。

靴のかかとの減り具合に左右差がある場合は、膝だけではなく全身のバランスチェックが必要だと想像できます。

インソールの減り具合が違う場合

靴底はそれほど差がないように見えても、靴のインソールが片側だけすり減っていることがあります。

この場合、インソールがすり減っている側の足が長いことを意味しています。

仙腸関節で腸骨が後方回旋している側の足は寝ると短くなります(短下肢)が、立つと長くなります。

この腸骨が後方回旋している可能性を視野に入れ、検査時に腸骨の回旋をチェックする必要があります。

このように、問診する前や触診する前に膝痛の原因と思われる情報がたくさんあるので、注意深く観察してください。

膝の動作時痛の原因を、部位別に診断する

膝痛の場合、お客様が「ここが痛いです」と指差して訴えるところに、原因が隠れていることがあります。

もちろん、そうでない場合もたくさんあります。しかし、お客様が訴えた部位の解剖を知っておくと、正確に膝痛の検査ができるので仮説が立てやすくなります。

そこで、膝の解剖と動作時痛の関連を見ていきましょう。

膝の前側が痛い場合

膝の前側が痛い場合、お客様の訴えは以下のようなものです。

・膝のお皿が痛い
・深く曲げると、お皿の上または下が痛い
・床に膝をつくと、ビビッと痛みが走る
・立ち上がる時に痛い

 

右膝前の部位名称

膝の前面には膝蓋骨があります。大腿直筋とその下にある中間広筋の腱が、膝蓋骨を包み込むようにして膝蓋靭帯となり脛骨粗面につきます。

大腿四頭筋(大腿直筋・中間広筋・内側広筋・外側広筋)のうちの特に大腿直筋は、階段を登る時、自転車をこぐ時に使われます。逆にいうとそれ以外では使われていません。

そのため、階段を上らない、自転車も漕がない生活だと大腿直筋はゆっくり筋力が落ちていきます。すると、大腿直筋の腱に包まれている膝蓋骨は重力に従い、下の方に落ちてきます。

膝蓋骨が正常な位置よりも下に下がったまま大腿直筋を使わない生活が続くと、膝蓋骨は下方にずれた位置に固定されてしまいます。椅子の生活だと痛みは出ませんが、深く膝を曲げようとすると膝蓋骨がスムーズに動けないので、上記のような膝の痛みを訴えます。

膝の後ろ側が痛い場合

膝の後ろ側が痛い場合、お客様の訴えは以下のようなものです。

・膝の後ろが伸び切らない
・膝の後ろが突っ張る
・正座すると膝の後ろに何かが挟まったように感じる
・3分以上正座すると辛くなる

右膝後の部位名称

膝の後ろは膝窩と呼ばれ、ひし形のくぼみがあります。ひし形を形成するのは、上外側は大腿二頭筋です。上内側は半腱・半膜様筋になります。下外側は腓腹筋外側頭で、下内側は腓腹筋内側頭が形成しています。

膝は、蝶番関節で大きく屈伸できる関節です。膝窩はこれらの腱で守られ、坐骨神経や動静脈、リンパ管が安全に通過できるような構造になっています。

しかし、これらは強力な腱です。何らかの理由で腱の伸縮に不都合が生じることがあります。

例えば、肉離れや打撲をしたとき、またはゴルフのように同じ方向にばかりひねる動作などを繰り返すと、膝裏が伸びなくなることがあります。

膝裏で一番引っかかりやすいのは、ひし形の膝窩の外側(大腿骨外側顆と脛骨外側顆の間)です。

ここには、大腿二頭筋腱と腓腹筋外側頭の間に、もうひとつ膝窩筋がついています。この3つの筋肉は行き先と働きが違うため、筋膜で明確に分けられています。しかし、何かの理由で癒着が起こると、動きが悪くなることがあります。

例えば、脛骨の内旋筋である膝窩筋をバスケットボールなどで使いすぎた場合、膝窩筋に炎症が起こると関節包との間で癒着が起こることがあります。(注意:膝窩筋は関節包の中に起始があります)

あるいは、右の腸骨が後方回旋すると右の坐骨結節が下前方向へ回旋するため、ピンと張ったハムストリング(半腱様筋・半膜様筋、大腿二頭筋)がたるみます。すると、膝窩にたわみができて、それが癒着することがあります。

なにかの理由により、膝窩に癒着が起きると膝裏が伸びなくなるため膝が伸展できなくなります。膝の後ろ側が痛い場合には、どの筋膜が癒着して膝痛の原因になっているかを検査時にチェックする必要があります。

内側の動作時痛

膝の内側が痛い場合、お客様の訴えは以下のようなものです。

・変形性膝関節症と診断された
・ひざの内側が痛い
・ひざの内側がぷくっと腫れている

 

右膝内の部位名称

膝の内側真横の部分には、前から順に縫工筋、薄筋、半腱様筋・半膜様筋が並んでついています。

縫工筋は、ASIS(上前腸骨棘)から脛骨内側顆をつなぐ、斜めに走るハチマキのようなものです。縫工筋の下には神経と血管が走っています。

ハチマキである縫工筋は、もし問題がなければ軽く摘み上げることができる筋肉です。しかし、この筋膜のどこかに癒着が起こると、癒着部位が引きつるだけでなく停止部の脛骨内側顆が引っ張られます。

薄筋は膝の内側では細い一本の腱ですが、起始は恥骨に幅広くついています。そのため、骨盤のゆがみや変異などで恥骨の位置がずれると、その影響を受けて薄筋の停止部である脛骨内側顆にも無理がかかります。

半腱様筋・半膜様筋については、坐骨の位置がずれても問題が発生すると前述しました。

また、この下には内側側副靱帯も走っています。スキーやスケートなどで転倒してこの内側側副靭帯が切れたお客様の場合は、当然重なっている縫工筋、薄筋、半腱様筋・半膜様筋の筋膜に癒着が起こることが考えられます

そのため、膝の内側にあるこの3つの筋肉、縫工筋、薄筋、半腱様筋・半膜様筋の筋膜が、きれいに別々に分かれるかどうかをチェックする必要があります。

65歳以降もしくは70歳位以降の高齢者になると、内臓が全体的に下垂する方がいます。内臓下垂の場合も、膝の内側がぷっくりふくれます。

前述の筋膜のトラブルは何もなくても腫れて痛みます。この場合は、陰陵泉というツボを中心に腫れます。

高齢者で膝の内側が痛い場合には、内臓下垂に伴う便秘や慢性的な腹部膨満感がないか聞いてみましょう。便秘や腹部膨満感があれば、同時にその処置も必要になります。

また、この膝の内側は右が肝臓、左は心臓の反射区です。解剖的に何も悪くないときは、反射区の痛みかもしれません。肝臓の病気がないか、心臓にトラブルを抱えていないかも聞いてみる必要があります。

外側の動作時痛

膝の外側が痛い場合、お客様の訴えは以下のようなものです。

・体重をかけると痛い
・股関節にも痛みがある
・捻挫したことがある
・脛(スネ)が神経痛のように痛い

 

右膝外の部位名称

膝の外側は、大腿筋膜張筋から伸びる強力な腸脛靭帯が通過しています。

腸脛靭帯は膝の外側方向への過剰な動きを制限しています。また腸脛靭帯は、腰痛や股関節痛、足首の捻挫などで外重心になると負担がかかり緊張してくる部位です。

立位での重心線は、大腿骨骨頭 ー 大腿骨内側顆 ー 土踏まず ー 第2趾を通るラインです。

立位でこの重心線よりも外に体重がかかっていたら、そのお客様は普段から外重心で生活していると考えられます。そのため、歩き方や靴底の減り具合などをみて重心の位置を確認する必要があります。

また、過去に激しいスポーツをしていた方が膝の外側痛を起こすことがあります。

例えば、格闘技やサッカー、アメフトといった、蹴ったり蹴られたりという激しい動きをする競技です。そのような場合は、蹴られた部位でその周辺の筋膜が癒着していることがあります。

腸脛靭帯に癒着があると、膝関節外側部が緊張します。外側側副靭帯を断裂するような事故を起こした場合や、肉離れを起こしたことがある場合も同様です。

さらに、脛(スネ)が神経痛のように痛い場合は、膝関節だけでなく上脛腓関節が動かなくなっていることが考えられます。

膝関節の後ろ側で坐骨神経から枝分かれした脛骨神経が、上脛腓関節のすぐ下を通って前に出てきます。その際、上脛腓関節が動かないと脛骨神経が圧迫されるため、神経痛と似た症状が起こります。

お客様の訴えが、何を意味しているのかをしっかり考えて、膝痛の原因の仮説を立てましょう。

まとめ

このように、40代位以降の膝痛の方がいらしたときは、診た目でまず予備情報を入手します。

そして、動作時痛がある場合は、どのような動作の時に痛みが起こるのかを詳しく聞きましょう。

さらに、その動作時痛は膝の前後左右のどこに起こるのかがわかれば、解剖学的見地から痛みの原因が特定しやすくなります。

視診と問診で二重チェックをしてから触診すれば、より正確な膝の動作時痛の原因を見つけることができます。

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