来院したお客様が、「変形性股関節症です」と言って来店した場合は、股関節の手術を控えた状態、あるいは手術後の不調で来院されることが多いです。

そこで今回は、お客様が問診で「変形性股関節症」と言った場合、整体の適応症であることを見極めて施術するポイントを伝えます。

正常な股関節とは

変形性股関節症を理解するために、正常な股関節の構造と機能を簡単に説明します。

股関節の構造

股関節の構造は、餅つきの臼と杵の関係です。

股関節は、丸くくりぬいた臼のような受け口に、球状の大腿骨骨頭がスッポリとはまっています。股関節はソケットと電球にも例えられ、典型的な球関節です。

股関節の臼の方を関節臼といいます。

関節臼の淵は関節唇といい、臼をより深く丸くしています。

股関節の接触面は、関節臼も大腿骨頭もともに関節軟骨で覆われています。

また、大腿骨頭の先端には大腿骨頭靱帯があり、その靭帯の中を血管が走っています。

そして、股関節は内側から順に、関節包・靭帯・筋膜で覆われています。

股関節の機能

股関節は屈曲、伸展、内旋、外旋、内転、外転の6方向への動きがあります。

6方向への動きが総合的に組みあって働くと、「ぶん回し」運動ができます。

股関節は年齢により、また個人差によりその動きの度合いは違います。

しかし、正常な股関節では関節臼と大腿骨頭が、必ず均一な一定の隙間を保った状態で動きます。

変形性股関節症の症状

股関節は、正常な状態では関節臼と大腿骨頭が均一の隙間を保った状態で動くものです。

変形性股関節症とは、何らかの理由により股関節の隙間が均一でなくなったり、関節臼が浅かったりして、次第に股関節が変形して痛みを伴う症状を言います。

変形性股関節症は、鼠径部、大腿部、臀部、深層外旋筋の痛みを伴います。

代表的な症状に、トレンデンブルグ兆候があります。

トレンデンブルグ兆候とは、中臀筋が使えないときに現れる症状です。

中臀筋は片足立ちをするときに働く筋肉です。

この中臀筋が使えないと、使えない側の足で立ったときに、反対側の骨盤が沈むように傾き、足を引きずるようになります。これをトレンデンブルグ兆候と言います。

変形性股関節症の程度により、痛みや動作時に股関節の動きに制限が起こってきます。

変形性股関節症の原因

変形性股関節症の原因は大きく一次性と二次性に分けられます。

一次性の変形性股関節症

一次性の変形性股関節症は、原因がよくわからなくて股関節が変形している場合をいいます。

二次性の変形性股関節症

二次性の変形性股関節症は、怪我病気など原因がある場合です。

二次性の変形性股関節症は、さらに2つに分けられます。1つは先天性の股関節脱臼が原因のもの、もう1つは臼蓋不全によるものです。(臼蓋は股関節の構造で示した右側のイラストにあるように関節臼の上の部分です)

先天性股関節脱臼

先天性股関節脱臼の原因は明確ではありません。子宮内にいる時の不自然な姿勢や遺伝によるものが考えられます。

臼蓋形成不全

臼蓋形成不全は、先天性股関節脱臼が原因の場合と成長期の発育不全が原因の場合があります。

この臼蓋不全は、若く筋力がある時期は痛みなく過ごすことができます。

しかし、加齢に伴い筋力が低下してくる中年以降に痛み出してきます。

そして、医療機関を受診して臼蓋不全だとわかることが多いようです。男性より女性に多いとも言われます。

この股関節の変形は以下の4期に分けられます。

変形性股関節症は整体の適応症か?

さて、ここまで述べてきたように、変形性股関節症とお客様が言った場合は医療機関を受診していることがほとんどです。そのため、どのような診断結果か確認してください。

もし、上記の表に示した「前期」の場合は整体の適応症です。

お客様に股関節周りの施術を医師から許可されているか確認して、整体施術を行いましょう。

「初期」の場合も、手術前で医師から整体を許可されていれば適応症です。

この「初期」の段階では筋力低下見られます。

股関節周囲の筋肉は、骨盤が歪んでいると十分に働けません。

なぜなら、骨盤が歪み筋肉の起始・停止の位置が微妙に違ってくると、股関節周囲の筋肉の長さが正常よりも伸びたり縮んだりするためです。

また、筋膜の癒着や引きつりがあっても筋肉は十分働けなくなり筋力低下が起こります。

そこで、骨盤の歪みを改善し、筋膜の癒着や引きつりを改善する整体が有効となります。

「進行期」「末期」は、人工関節の手術を勧められる時期です。もはや、適応症ではありません。

変形性股関節症をパーフェクト整体的に見た場合の原因

医師の許可が下りた整体適応症の変形性股関節症を、パーフェクト整体ではどのように診断して施術を試みるのでしょうか。

股関節は、正常なら関節は均一の隙間を保った状態で動いていると述べました。

その均一のはずの関節の隙間が、均一でなくなると動きが制限されます

そして、股関節の動きの制限が大きいと痛みも大きくなる傾向があります。

そのため、股関節のどの部分で関節の隙間が狭くなっているかを確認する必要があります。

関節の隙間が狭くなるのはどの部位でも起こります。

その中でも臀部、鼠蹊部、大転子付近、太腿部に痛みを訴えることが多いです。

それぞれ、どこに問題があるか見て行きましょう。

臀部が痛い場合

長く歩いたり長時間立っていたりすると、臀部の筋肉がパンパンに凝ってくる場合は、大臀筋、中臀筋、小臀筋のどれか、もしくは全部が緊張しています。

鼠蹊部が痛い場合

階段を昇る時やズボンをはくとき片脚を上げようとしても上がらない、鼠蹊部が痛む場合は、腸骨筋・大臀筋・大腿直筋・恥骨筋・恥骨大腿靭帯の緊張やこわばりがあります。

大転子付近が痛い場合

歩いていると大転子付近が痛み出したり、こわばりがきつくなったりして歩幅が狭くなる場合は、深層外旋六筋、大臀筋、中臀筋、小臀筋、外側広筋、内側広筋、大腿直筋の起始と停止をよく検査して緊張を探しましょう。

大腿部が痛い場

動作時、歩行時に大腿部が痛む場合は、場所によってその筋膜がひきつり癒着があるかよく調べましょう。前後、内外側でそれぞれ痛む筋膜は違います。

痛みの場所 癒着や引きつりがある筋膜
大腿部外側 大腿筋膜張筋、腸脛靭帯
大腿部内側 内転筋、恥骨筋、薄筋、小臀筋、大腿筋膜張筋
大腿前部 大腿四頭筋、大腰筋、腸骨筋、縫工筋
大腿後部 深層外旋六筋(特に梨状筋、内閉鎖筋、大腿方形筋)、ハムストリング

手術前にできること

手術したら、患部の痛みが消えた代わりに、他の部位が痛むことがあります。

股関節は痛くないけれど、腰痛や膝痛、足首痛が発症して来院されるお客様は比較的多いのです。

なぜこのようなことが起こるのでしょうか?

理由は、股関節が球関節で前後・左右・回旋と動くことができ、動きの自由度が高い関節のためです。

イメージしにくいので、例を出して説明します。

イラストをご覧ください。

靴底の減り方が違う場合は明らかに体重が偏っています
片側だけすり減った靴を履いて歩いている人を見かけることがあります。

他人から見たらいかにも歩きづらそうですが、本人にとってはそれが普通です。そのため、すり減った靴で違和感なく歩くことができます。

上記イラスト左靴のヒールのすり減りは、体重が左外側に偏ってかかっているために起こります。

左外体重になる原因が、例えば学生時代の激しいバスケット部の練習中の捻挫だとしましょう。

捻挫で距骨や踵骨、立方骨が外前方向にずれたまま固まったとします。

すると、重心が土踏まずではなく外側にかかるようになります。

その結果、歩くと足の外側に力がかかり、ヒールの外側が斜めにすり減るわけです。

このように外重心の歩行は、股関節に不自然な圧を伝えることになります。

股関節は、足からの不自然な圧を臼蓋で受け止めます。

すると、だんだん関節の外側の隙間が狭くなり股関節は変形し痛み出します。

手術で人工関節が入ると、股関節は手術以前のように足首からの圧を吸収して、臼蓋の形を変えて対応することができません。

そのため、股関節の代わりに、膝関節が足からの不自然な圧を吸収すると、膝が痛み出します。

股関節の代わりに、腰椎が足からの不自然な圧を吸収すると、腰が痛みだします。

このように、人工関節を入れた股関節が、体の部位をかばっていた場合、手術後に痛みが転移するのです。

そこで、このようなことを避けるには、お客様の股関節手術前が大切です。

手術前に、お客様の股関節に無理をかける原因となる隠れた患部を、術者が探し出して正常に戻す必要があります。

そして、体の重心が真ん中に戻った状態で手術すれば、お客様が手術後に痛みが転移することはありません。

手術後にできること

股関節の手術後に来院される方は、手術による癒着やケロイドがメスを入れた部位に起こっています。

また、人工関節(異物)が体に入ったために、リハビリ中から股関節周囲の筋肉が過緊張状態になっています。

臀筋や深層外旋六筋の起始・停止に負荷がかかり、筋膜繊維が緊張しているのです。

坐骨神経痛と大腿方形筋

術者は、お客様の緊張して固くなった繊維を見つけ出して緩めていく必要があります。

1回や2回の施術では、目に見えた効果は現れないかもしれません。

しかし、5回以上施術回数を重ねると、筋膜繊維の癒着や引きつりが減っていくのがわかるでしょう。

筋膜繊維の癒着や引きつりが減ると、お客様は股関節周囲に今まで感じていた筋肉のこわばりや、歩いた時の緊張感・違和感が薄れていきます。

また、変形性股関節症が、外傷による捻挫や膝の位置異常が原因で起こった場合は、それも一緒に治してあげましょう。

そうすることで、手術後の違和感が緩やかに消えて行き、普通に生活することができます。しかも、痛みが膝や腰に転移しにくくなります。

また、通常人工関節を入れた方は数年後に反対側の股関節も人工関節になるリスクがあります。しかし、的確な施術ができれば、反対側の手術は予防できる可能性が高まります。

70歳以上のお客様が人工関節を入れた場合は、無理してグイグイ押したりさすったりの施術は避けましょう。半年から1年かけて、ゆっくり体力を温存しながら施術していきましょう。

整体の施術に際しては気をつけることがあります。

それは、人工関節が入った場合、動きが制限されるということです。

90度以上股関節を屈曲しないこと、股関節の無理な内転・内旋動作をしないことを心がけましょう。

無理に内転・内旋方向へ動かして施術すると、股関節が脱臼する可能性があるのでご注意ください。

まとめ

変形性股関節症のお客様がいらしたら、まず整体の適応症かどうかを見極めましょう。

整体適応症と判断できた手術前のお客様は、変形性股関節症の原因となっている患部を回復させ体の歪みを取りましょう。

そして、全体としてバランスの良い体作りをめざしてください。

すると、手術後に痛みの転移がなくてすみます。

手術後の痛みやこわばりで来院されたお客様は、施術に際しては内転・内旋方向へ無理な手技を避け、股関節が脱臼しない様に配慮してください。

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