今回は途中からは動くけれど、上腕骨挙上の初動が動かない五十肩の症例をご紹介します。

通常の五十肩は、パーフェクト整体ではそれほど苦戦することはありません。

理由は簡単!

肩甲胸郭関節・肩鎖関節・胸鎖関節を上手に緩める手法があるからです。

しかし、塾卒業のT先生はそれらを駆使してもうまくいかず悩んでおられました。

そこで、そのお客様を私が拝見しての診断を紹介します。

お客様:KMさん、52才女性

KMさんはの外見は、52歳とは思えない若さです。

主訴 : 重度の四十肩

  • 息を吸うだけで右の肩甲骨の裏あたりが痛む
  • バレーのレシーブの様な動き(ドアノブを掴もうとする動き)で右三角筋中部に痛みが走る
  • 仰向けでバンザイが、右だけ重過ぎてほとんど上げられない

T先生の診断とお悩み

T先生によれば、原因は長年バレーボールを痛みに耐えながら過酷に頑張り続けてきた結果だと思うとのことでした。

一番治せたらいいなと思う箇所は胸郭で、常に上半身は右回旋気味、後ろから見ると胸郭が明らかに後方に盛り上がっています。

しかし、このKMさんの右肩甲骨や右肋骨に触れると、神経が勝手に反応してか、右肩が本人の意思とは関係なくビクビクと勝手に動き出してしまいます。

これがやっかいで、難航している理由のひとつと思うと悩んでおられました。

片平施術時にKMさんが訴えた事

施術する前に、KMさんが私に明るい笑顔で言ったことは以下3つ。

  1. 右五十肩のため、仰臥位で上腕をもちあげようと思っても、初動の動きが全くできない
  2. 途中まで上げればなんとか上腕を挙上できるようになる
  3. 仰臥位で息を吸うと鳩尾(みぞおち)が痛い

そして、既往症は以下2つでした。

  1. L5 分離症
  2. 右前十字靭帯摩耗のため半腱半膜様筋腱移植手術を受けた

いつものように、骨盤と下肢のバランスを整え、移植手術した右前十字靭帯のバランスを整えました。

T先生が上手に施術されてい他のでここまではスムーズに進みましたが、問題はここからです。

総合判断

主訴やT先生の判断そして直接触診しての私の総合判断は、肋骨や鳩尾が吸気で苦しかったり痛いのは、前鋸筋と肩甲下筋の膜が癒着しているためかもしれないという仮説です。

前鋸筋と肩甲下筋が癒着していれば、肋骨の1〜9につく前鋸筋が自由に動けなくて苦しいのは当たり前です。

そのために、肋骨全体が動けなくて呼吸が苦しいとか鳩尾が苦しいと訴えるなら合点が行くからです。

前鋸筋と肩甲下筋の膜の間を探っていくと、案の定全く手が入りません。

そこで、前鋸筋と肩甲下筋の間の膜をリリースして手が入る状態にしました。

すると、苦しかった吸気に伴うみぞおちの痛みは消え、楽になりました。

肋骨の痛みはなくなり、いびつな胸郭も元に戻りました。

仮説は正しかったと言えます。

次に、上腕骨挙上時の初動ができないのは上腕二頭筋腱が使えないことを意味します。

しかし、上腕二頭筋腱は深いので、腋窩から上腕二頭筋腱に手が届くためには、それより浅い膜をリリースしなくてはなりません。

KMさんの場合は

  • 肩甲下筋の停止である上腕骨小結節までの膜リリース
  • 大円筋と広背筋の膜リリース
  • 上腕三頭筋腱起始部のリリース

が必要でした。

その上で上腕二頭筋腱を緩めると、KMさんは自力で上腕骨の初動ができるようになりました。

とはいうものの、肩のあたりが勝手にビクビクと動き、その度にゴキゴキ音がします。

肩鎖関節はT先生が上手に緩めてくださっていたので、胸鎖関節をチェックしてみました。

すると、なんと鎖骨が胸骨に対して上方回旋しながら喉に刺さるように斜めになっていたのです。

そのため、鎖骨の肩峰端は前外にねじれていました。

この鎖骨のねじれのせいで、肩鎖関節がかみ合わず、上腕を動かすたびに微妙に自分で肩を痛まない位置に逃していたものと判明しました。

それが、あのゴキゴキ音になっていたわけです。

その証拠に、この鎖骨のねじれを修正するとゴキゴキ音が半減し、さらに上腕の挙上が楽にできるようになりました。

2年以上この状態が続いていたとのことでしたので、骨の位置を正しても関節包がすでに緩みきっています。

肩鎖関節や胸鎖関節の関節包が正しい位置で、ギュッとしまってくるのに1〜2ヶ月は安静にする必要があります。

関節包が緩いので、寝ている間に鎖骨が少し戻ってしまうこともあるため、そのこともKMさんにご説明しました。

T先生にはしばらく、経過観察しながら同様の施術を繰り返していただくようお願いして施術終了となりました。

KMさんの肩鎖関節と胸鎖関節の関節包が正しい位置でしまってくれば、2年間苦しんだ五十肩は改善するでしょう。

まとめ

このように、「四十肩・五十肩」と一口に言ってもお客様の症状は100人百様です。

KMさんは、長年バレーボールのアタッカーで活躍していました。

そのため、膜の力が弱くなる更年期も、チームのために無理してアタックをしすぎたのが原因と思われます。

肩関節は、肩甲骨の肩峰と鎖骨でつながる小さな関節です。

そこに、片腕 3〜4kg の腕がぶら下がっています。

生活環境やからだの使い方、寝る姿勢、加齢などで肩には色々な無理が来ます。

訴えを聞いたり質問したりする間に体の構造をイメージし、仮説を立てて施術してみましょう。

すると、今回のように答えが見えてきます。

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